ソフトウェア選択ガイド - Advanced Science Laboratory.inc.

ソフトの選択や解析の始め方に迷ったら

このページは、どの有限要素法ソフトウェアがお客様の設計や研究の用途に有用か判断するための情報を提供いたします。以下のガイドで、弊社ソフトウェアの機能と弊社サイトから利用可能なリソースについて、簡単にまとめております。

これらのソフトで何ができるのでしょうか?

有限要素法計算コードは、複雑な形状の物体が配置された空間において、物理量の分布を求めるプログラムです。計算の対象となる空間を小さな要素に分割し、各ノード(結節点)を囲む要素上で積分を行うことによって、空間の状態を表す微分方程式を一連の線形方程式群に変換して解きます。

Field Precision ソフトウェアは、電場、磁場、固体中の温度、放射電磁場、荷電粒子軌道など、様々な物理量を扱うことができます。

微小要素により形作られたさまざまな空間領域は、解の種類に応じて、異なった物理的材質を表します。例えば、静電場の計算の場合、各空間領域は電極であったり、誘電体であったり、導体であったりします。

Field Precision 有限要素法ソフトウェアは、以下のようにして、電磁気学的な設計上の問題を扱う上での設計者の能力を向上させます。

  • 数値シミュレーションにより、解析的に解くのが困難であったり不可能であったりする、複雑な形状や非線形材料を含む問題を解くことができます。
  • コンピュータによるグラフィカルな表示によって、解に対する物理的な洞察を得ることができます。
  • 組み込まれている解析機能(自動静電容量計算など)により時間を節約出来ます。
  • 高速に解を得られるため、さまざまな仮想実験や広いレンジでのパラメーターサーチを容易に行うことができます。

これらのソフトでできないことは何でしょうか?

Field Precisionソフトウェアは技術者・研究者の知識と経験を補完する、プロフェッショナルなツールです。多くのコンピュータシミュレーションプログラムと同様、以下のように制約があります。

  • 電磁界解析ソフトウェアがあるからといって、電磁気学を学ばなくて良いということはありません。得られる数値解の質は、ユーザーの、物理的な問題を定義する能力や計算結果の意味を理解する能力に依存してきます。
    もし、あまりなじみのない分野の計算をする必要がある場合は、Field Precision およびASLは、入力ファイルの作成からリサーチプロジェクトのすべてにいたるまで、さまざまなレベルのコンサルティングサービスを提供しておりますのでご利用ください。
  • 良い数値解を得るにはそれなりの努力が必要です。意味のある結果を得るには注意深い検討と計画が不可欠です。「ブラックボックス」を謳うソフトウェアは一般的に、融通性に欠け、実際の設計上の問題に対しては、がっかりするような結果しか生み出さないものです。
    Field Precisionソフトウェアの入力ファイルのフォーマットやオープンなデータ構造は、長期的に見てユーザーの時間を節約できるように設計されております。

私の仕事に適したソフトはありますか?

すべてのField Precisionソフトウェアは計算領域の対象物の形状に順応したメッシュを使います。メッシュはプログラムMesh (2次元), またはMetaMesh (3次元)によって生成され、そしてそれぞれの問題に適したプログラムが、物理量の解を求め、解析を行います。下の表は、各問題に適したプログラムのリストと詳細ページへのリンクの一覧です。

計算する周波数レンジによって異なった手法が有効であるため、電場や磁場の計算には複数のプログラムがございます。

電界

ソフトウェア 機能
EStat (2次元) 電極や誘電体(または導体)など、複数の対象物を含む空間の静電場を計算します。高電圧工学、電気メッキ、荷電粒子光学などに適用出来ます。
HiPhi (3次元)
RFE2 (2次元)

不完全な誘電体(静電容量や有限の抵抗を持つ)中の交流電界を計算します。

この計算には、計算領域の寸法に対して電磁的波長が大きい、つまり電磁波を放射しない場合という制約があります。 RF加熱、電気外科などに適用出来ます。

RFE3 (3次元)

磁界

ソフトウェア 機能
PerMag (2次元)

コイルや磁性体などの静磁場を計算します。2次元コード(PerMag)では、ユーザーが与えた飽和曲線を用いて、軟磁性体を扱うことができます。

また線形/非線形の永久磁石や異方性磁性体を扱うことができます。磁石の設計、変圧器、モーターなどに適用出来ます。

Magnum (3次元)
Nelson (2次元)

渦電流を伴う磁場を周波数領域で計算します。電磁波を放射しない条件(波長が計算領域のサイズに対して大きい)で低い周波数(MHzレンジ)の問題を解き ます。

コイルおよび線形磁性材料を扱うことができます。ピックアップコイルの結合度およびエネルギー損失の解析、変圧器、モーターなどに適用出来ます。

Pulse (2次元)

パルス磁場用の完全な設計ツールです。渦電流の効果を含む時間領域の解を計算します。

コイル、線形/非線形磁性体を扱うことができます。パルス変圧器やパルス電磁石の設計などに適用出来ます。

電磁場

ソフトウェア 機能
WaveSim (2次元)

マイクロ波構造や共振器などの周波数領域の解、および損失性媒質を使った場合の電磁波散乱を計算します。

マイクロ波装置、加速器のキャビティなどの計算に適用できます。

EMP (2次元)

損失性媒質を含んだ電磁場の解を時間領域で計算します。

パルスパワー装置、電磁干渉(EMI)、マイクロサーキットの結合(カップリング)などの計算に適用出来ます。

Aether (3次元)

マイクロ波構造や共振器、アンテナなどの周波数領域、時間領域での解を計算します。

マイクロ波装置、加速器のキャビティ、パルスパワー装置、電磁干渉(EMI)などの計算に適用出来ます。

荷電粒子軌道

ソフトウェア 機能
Trak (2次元)

現在利用可能な中で、最も応用範囲の広く、正確な2次元荷電粒子シミュレーションコードです。

セルフコンシステントな空間電荷およびビーム生成磁場、チャイルド則(空間電荷制限放出)、電界放出、二次電子放出を扱うことができます。

外部印加の電場および磁場も計算できます。電子光学装置、イオン源、加速 器、大電力電子銃、マイクロ波管、真空電子工学などに適応できます。

OmniTrak (3次元)

Trakの3次元版にあたり、3次元の電場および磁場中における荷電粒子軌道を計算できます。

セルフコンシステントなチャイルド則(空間電荷制限放出)、 電界放出、二次電子放出を扱うことができます。

電子光学装置、光電子増倍管、シートビームインジェクター、大電流ビームの偏向、静電加速器などに適用でき ます。

熱伝導

ソフトウェア 機能
TDiff (2次元)

固体中の動的および静的な熱伝導を計算します。温度依存性を持つ材質を扱うこともできます。

生体熱工学のシミュレーションのために開発されました。

HeatWave (3次元) 固体および生体中の動的および静的な熱伝導を計算します。放射境界および温度依存性材質を用いることができます。

2次元と3次元のソフトのどちらを選んだら良いでしょう?

もし対称(もしくはほぼ対称)な構造をモデル化したい場合は2次元プログラムを選ぶのが良いでしょう。価格も安く、また2次元シミュレーションの設定や結果の解析に要する時間は、3次元の場合に比べると少なくて済みます。

一般的な問題において、2次元と3次元のプログラムは相補的な機能を果たします。一般的には、2次元プログラムは問題の制約条件の理解や、広いパラメーター範囲での概要を見るための計算に役立ちます。
こうした予備的な計算の後に、必要な形状において、数値的に精確な3次元の計算を行うのが良いでしょう。

まず何から始めたら良いのですか?

Field Precisionソフトウェアに対する次のような疑問点には、下記の1.~3.のような手順を踏んでご質問くださると助かります。

  • 自分の計算したい問題に対して有益な情報をもたらしてくれるのか?
  • 使い方は簡単に習得できるのか?
  • 計算結果は妥当な時間で得られるのか?
  1. マニュアルを読んでみる
    製品一覧表には技術的な概要、ポストプロセッサーのスクリーンショット、そして価格が掲載されております。また必要とするソフトウェアのPDFフォーマットのマニュアルをダウンロードすることができます。
    メッシュの作成がシミュレーションの設定作業の7、8割を占めますので、Mesh やMetaMesh のマニュアルをよくご覧下さい。
     
  2. フリーソフトウェア(3次元電磁界計算)を使ってみる
    ウェブページ上から電磁界計算ソフトウェアEMP3パッケージまたは静電界静磁界解析キット(フリーウェア)をダウンロードすることができます。
    これらのパッケージは、汎用メッシュ生成ソフトウェアを含んでいます。

    これらによってメッシュ作成を行ってみたり、すべてのプログラムにほぼ共通なグラフィカルユーザーインターフェイスや解析機能を試してみることができます。フリーソフトをダウンロードするには次のリンクをクリックして下さい。EMP3 download (Field Precision).
    ※このソフトの技術サポートは有料となります。
     
  3. 質問を送る / 10日間無料トライアルを申し込む
    お客様の計算を行いたい問題について、詳細をお送り頂きますと、適したソフトをお勧めし、どのようなことが可能かお知らせ致します。

    ご希望であればご評価頂くために、10日間の無料貸し出しを行います。
    電子メールか次のリンクをクリックして、お問い合せください。

 

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